あなたはいいかも知れないけれど。
子育てをしていて、思い出すことばがある。
母に言われた言葉だ。
上の子の育休から復帰したとき、会社のシステムの入れ替えのタイミングで
本当に毎日毎日残業で、子どもは慣れない保育園で、不安だろうにとても悩んだ時期がある。
職場には、長く育児休業を取らせてもらったから、ちゃんと働きたいというきもちがあった。
子どもも、慣れない保育園で、毎日最後までお迎えを待つのは不安だろうと思った。
先生方は、5時までは泣いていなくて、頑張ってたんですよ。でも、ひとりふたりとお迎えが来て帰って行くと、淋しくなっちゃうみたいなんです。
ずっと一日中泣いているわけではないですから。がんばっていますよ。
なんて言ってもらえるけど、切ない。
母にその話をして、ベビーシッターを頼もうと思うって言ったんだ。
そのときに言われた。
「あなたはいいかも知れないけど、◯◯ちゃんは、どうかな?」
母は、それから、毎月繁忙期には何週間も泊まり込んで、娘の保育園の送迎をしてくれた。あるときは、わたしの帰りが遅いと娘がなくと、
「ママ、そろそろ駅まで来ているかも知れないから、見に行こうか?」
とコンビニまで連れて行き、お菓子やおもちゃを買っては、家で遊んで待っていようと、またなだめて家に帰るなどして、時間をつぶしてくれていたそうだ。
わたしが帰る頃には、娘は眠ってしまっていて、その話をわたしは娘の寝顔を見ながら、母から聞いた。
きっと、母は、そうやってわたしたち姉妹を育てて来てくれたんだなあと思った。
時代は変わっても、社会も変わっても、人の気持ちが変わるわけじゃない。
変わるか変わらないかは、わたしが納得して決めて行かなくては。
時々、母の声を思い出してそう思う。
でも、あの頃と思ったら、子育て世代の労働環境って本当に整って来たと思う。
無理してハードルをあげるのではなく、下手に防御して、道を塞ぐのではなく
等身大で、次の世代にバトンを繋いで行きたい。