バカになりたかったあの日とバカになっちゃった今。②
今思うと、そんなことどうだっていいんだ。その半分は現実逃避の言い訳だった。わたしは、何者でもないままに、浮遊していたかった。
成績とか、偏差値とか、志望校とかで、一律に序列化されない価値が自分の中にあると、ただ信じたかっただけなんだ。
でも、そんなふうに逃げ続けるにもほどがある。ついに、わたしは型にはまることを受け入れた。やるからには、ちゃんとやろう。精一杯やろうとスイッチが入ったのだ。
そして、わたしは余計なことを考えず、石川啄木の短歌ではなく、敢えて弱々しい詩を読んでメソメソするような、傷を舐め合うような弱虫を捨てた。
バカになりたかった。なんにも感じない。なんにも考えない、勉強だけしていれば、心が落ち着くみたいな赤ちゃんみたいに純粋で濁りのない心が欲しかった。