高校生の頃
高校生の頃、とても聡明で、おとなしい友達がいた。いつもニコニコしてて、みんなのことを褒めてくれる。細くて、目が大きくて、かわいくて、嫌味のない子だった。
ある日、わたしの好きだった人が、大きな声で「これだから、女は!」と言った。わたしは、まあね、わたし、女ですけど。うふふ。くらいの気持ちで聞いてた。
ところがですよ、その普段はおとなしい、聡明な彼女が怒ってるんです。自分のことでもないのに!なんで?
ジョセイサベツ……ってことなのかな?幼いわたしには、よくわかりませんでした。
それから、その彼の話を女子の前ですることに躊躇するようになって、他人のノロケ話ばかりを聞く、ハイスクールライフが始まったわけです。
みんな、「恋は盲目!だよ。」とか、「あばたもえくぼになってない?」って言うけど、実際、わたし以外にも彼を好きな人はいるように思えたし、女の子の友達も多かった。
男とか女とか関係ないじゃん。これだから、赤組は…とか言われても、寄せ集めの赤組メンバー、奮起はしたとして、腹は立たないでしょう?
それは、わたしが運痴💩だから?
どうして、彼を好きだったのか、考えると、もちろん笑った顔も声も、少しだらしないところも、全部好きだったんだけど、彼を見てるだけで、わたしも変われる気がした。
いや、こころがいい人だと思ったの。誤解されてるだけで、いい人なんだと。自分にはそれがわかるっていう気持ちが積み重なって、好きになっちゃったのかな?
ちょっと過激なとこもあったけど、ひとりで古い映画を見てたり、知らない大人の人たちと遠くの反対運動に行くために学校休んだり、なんか大人に見えた。なんで、そんなことが軽々とできるのか、仲良くなれたら聞いてみたかった。わたしも一緒に行ってもいい?と聞いたら、嫌がるかな?わたしは、別に行きたくないかな?
きっと、変わりたかったんだろうな。わたし。彼の世界を見てみたかった。話を聞きたかった。
そう、自分の持ってないものを持ってる人ばかりに惹かれた。共感よりもときめきだった。自分のことが、あんまり好きじゃなかったのかも?
もし、娘が、そんな恋をしていたら、わたしは見守るしかないんだろうな。ま、安全だから。見てるだけなら。(笑)知らんけど。